2022/12/25
年末になり、さて、今年はどんな年だったかな、と思いを巡らせておりましたら、大きな失敗談が頭に浮かんでまいりました。 情けないことです・・・。 夏頃、皮膚病の治療を始めたある若い女性とのお話しです。 彼女が初めて来院した時、顔はトマトのように真っ赤でした。 カユミに負けたひっかき傷のようなものが顔から首に無数にあります。 私も皮膚病を持病に持っておりますので、そのつらさがまるで自分のことのようでした。 先ずは強烈なカユミと真っ赤なその熱を取らねばなりません。 週2~3回の集中治療を始めました。 3ヶ月ほど続けてやっと赤みが取れて、粗熱が取れた状態に落ち着いてきました。 それでもカユミは残っているし、肌もまだまだ正常には遠くゴワゴワで、色素沈着もあって、木の皮のようです。 私は早く綺麗な肌に戻そうと少し焦っておりました。 まだ若い女性です。ちょっとしたシミでさも、あれば憂鬱になるものです。 しかしそこで私は間違えたのでした。 彼女に 「治療をがんばって、はやく綺麗になりましょう」と、言ってしまったのです。 すると彼女はちょっと驚いた風で「私、他にやりたい事があるんです」と言って、治療に来なくなってしまいました。 治療をやめた理由が私にはまったく分からず、落ち込んで、一人悩んでしまいました。 私自身は痛いのも、かゆいのも、嫌なので、何しろ治療を優先してきたのでした。 しかし考えてみれば、それは私の考え方で、みんながそうであるとは限らないのです。 少しぐらいかゆくても、痛くても、完全に治らなくても、やりたいことを優先した方がいい。 そういう考えがあるのも当然なのです。 私は目から鱗の心境です。 ああ、間違えた。自分の価値観を押し付けてしまった! 私の勝手な考えを押し付けられて、彼女はとても不愉快だったのです。 これはとてもいい経験でした。 視野を小さくしてはいけない、という失敗談でした。