2023/03/05
「センセエ、もう一冊本を書いてくれませんか?」
先日こんなことを言われました。
「もっとセンセエの治療について教えて!もっとわかりやすい本を書いて!」
もっと、と言われても、患者さんを治療している間はなるべく治療の原理を説明するようにしているんですが。
しかし、
「センセエと話している間は理解したと思うけど、家に帰ると、わけがわからなくなるんです」
とよく言われるのです。
この鍼灸治療の原理はとてもシンプルなのですが、現在の解剖学とはまったく違う土俵にあるので、分かりにくいのだと思います。
まず第一にこの医学は人を全体として一つと捉えています。
部品の寄せ集めではありません。
だから特定の臓器や器官が悪いという診断もありません。
「指が痛いから指が悪い」という考えではないのです。
『私たちの心身全体を形成・維持しているのは気の流れである』
というのがこの医学の本質です。
心身のいろいろな症状は『気の流れ』が変動するとおこります。
1本の流れが変動すると、その流れに沿って症状が出ます。
例えば足陽明という流れは、顔からあご、喉、乳頭、へその横、鼠径部、膝、足首前面、足の人差し指、という具合に流れています。
この流れが変動すると、流れている部位に症状が出ます。
たとえば顎関節症、喉の痛み、乳がん、お腹の膨張、鼠径部のトラブル、膝の痛みなどなどです。
病名があるものばかりではありません。
病名が無い、本人にしかわからない、ささいで小さな様々な症状もあります。
この医学では解剖学的な病名はありません。
だから喉が痛いといっても、喉を治療しません。
足陽明という流れを元に戻すのです。
膝が痛い場合もそうです。膝を治療しません。
乳がんや乳腺炎などもそうです。
反対に言えば、膝の痛みも喉の痛みも同じ治療で治ると言うことです。
何となく変、という症状も治せます。
また心の問題も同じです。
足陽明という流れが変動すると、人は妙に考え込むようになります。
悪化すると鬱、ノイローゼとなります。
『気の流れの変動』が原因なので、『治療は気の流れを元に戻すこと』となります。
病気の多くは気が増えすぎることでおきています。
だから治療の大半は、『気を減らすこと』になります。
この続きは次回へ